慢性腰痛

・長時間、座って仕事をしているためか、夕方になると腰がズキズキと痛みます(30代・事務職・女性)

・立ち仕事の成果、万年腰痛に悩んでいます。最近では時々足にしびれが出てきました(40代・飲食店勤務・男性)

・移動の多い仕事をしています。出張中に、かばんを持とうとした瞬間、急に激しい痛み走り、動けなくなってしまいました。それ以来、慢性的に腰痛に悩まされています(30代・会社員・男性)

・運動不足で、冷え性もあります。冬になると特に腰が重だるくなり辛いです(50代・主婦)

・高校に入ってからサッカーの練習量が増え、いつも腰が痛いです(10代・高校生・男性)

当院患者様の症状です。このように「腰痛」と一言で言っても、いろいろなタイプがあり、考えられる原因も立っぱなしや座りっぱなし、逆に移動が多かったり、冷え性や運動不足・運動過多などさまざまです。

年齢や性別も異なります。

共通していえることは、生活やお仕事、運動などに支障をきたしているという点です。

腰痛が起こる原因は大きく分けて、①背骨 ②神経 ③内臓 ④血管 ⑤筋肉 ⑥精神的 に分けられます。

このなかで、①~⑤に関しては腫瘍や感染症、神経障害を持つ疾患で非常に重篤なケースもあります。

内臓疾患では、命に関わることもあります。

下の項目に当てはまる方は、重篤な疾患が隠れている可能性があるため、病院での検査を受けられた上、ご来院ください。

☑発症の年齢が20歳未満か56歳以上

☑時間や活動、動作に関係のない腰痛

☑胸部痛をともなう

☑悪性腫瘍の既往歴がある

☑長期間にわたる副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の使用歴

☑HIVの既往

☑栄養不良

☑顕著な体重減少

☑広範囲に神経症状(しびれやマヒ)がある

☑構築性脊柱側弯症

☑長期にわたり発熱をともなう

腰痛は、お仕事の内容に関連することが多くあり、同一姿勢を続ける作業、重量物を扱う作業の人に多いほか、仕事上の不満やストレスなど、心理・社会的な因子が関係するタイプも、近年、増えつつあります。

また、生活習慣では、運動不足と喫煙は深く関連するといわれており、肉体的原因や精神的原因など、非常に敏感に反応し表れてくるという厄介な側面がみられます。

そのため、対策や予防も難しく、日々、姿勢やお仕事、家事などの作業の見直し、精神面のストレスケアなどが必要となります。

当院では、国家資格を持ったセラピストが、物理療法(メディセル療法・電気・超音波)とお1人お1人に合わせた手技療法(筋膜アプローチ・ストレッチ・運動療法etc.)を行った上、そのときの状態に合わせ、自宅でできるセルフケアをお教えしています。

また、当院セラピストはカウンセラー資格も有しているため、ストレスケアも同時に行っていきます。

代表的な腰痛(非特異性腰痛:日頃の生活習慣などが原因もの)

腰痛の約85%は、神経症状(しびれやまひなど)や原因疾患などがなく、X線やMRIなどの画像検査をしても、どこが痛みの原因なのか特定できない「非特異的腰痛」です。

いわゆる「腰痛症」と呼ばれるものは非特異的腰痛です。
長時間、中腰や猫背などの姿勢が続き、腰や背中の筋肉が緊張し続けたときや、運動不足で腰を支える筋力が弱っているときなどに起こります。

寒さで筋肉が硬くなりやすい冬は神経が刺激され痛みが起こりやすくなります。

一般的な腰痛症であれば、セルフケアなどで比較的短期間で楽になりますが、休養が十分とれない日が続いたり、ストレスなどの心理的要因が重なると長期化することがあります。
急性の腰痛、いわゆる「ぎっくり腰」も非特異的腰痛に含まれます。

職場環境によって腰痛を発症する人は非常に多く、労働災害全体の6割以上を占めています。

体に負荷のかかる重労働、特に重たいものを持ち上げる作業や体幹を曲げたりひねったりする作業は要注意で、介護や看護の職場で多くみられます。

逆に同じ姿勢をとり続けるような職場でも多く、デスクワークをしている人や長距離輸送のドライバーにも腰痛が起こりやすい傾向にあり、股関節やその周辺の筋肉の柔軟性が失われてしまうことにも一因があると考えられています。
職場でのメンタルヘルスとの関連性も指摘されており、仕事に対する満足度や人間関係などが腰痛の発症や長期化と関連があるとの報告もあり、ストレスを溜めない環境作りも大切です。
また、生活習慣の中でも特に「運動不足」と「喫煙」は腰痛と関連していることがわかっています。

女性特有の腰痛

妊娠や生理など女性特有の原因で起こる腰痛です。

生理痛が強いと下腹部痛だけでなく腰痛をともなうことがあります。

妊娠中は大きくなったおなかを支えるために体の重心が変わり、上体を反らせる姿勢になることが多いため、腰痛が起こりやすくなります。

子宮が大きくなり、骨盤の周りの筋肉が引っ張られることが、腰痛の原因になっていると考えられています。

産後も授乳や夜泣きの対応などの育児、家事に追われると、身体的・精神的な負担から腰痛が慢性化することがあります。
更年期になると体内のホルモンバランスが変わり腰痛が起こりやすくなる傾向にあります。

その他の主な腰痛(疾患)

椎間板ヘルニア

背骨の衝撃吸収材であるゼリー状の髄核と呼ばれるものが飛び出し、神経を圧迫し、お尻や太もも、足などに痛みやしびれを引き起こします。

ただし、3ケ月~1年ほどでマクロファージの働きにより、飛び出したゼリーは消失していきます。

同じ場所に再発することはありますが、骨化したヘルニアでない限り、何年もヘルニアの状態ということはありません。

脊柱管狭窄症

背骨の脊髄神経が通る脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで、歩行時にお尻や足に痛みやしびれなどの症状が起こります。

歩行時には、少し休むと楽になり、また歩き始めると痛みやしびれで止まる…という欠性跛行と呼ばれる特徴的な歩き方になる傾向にあります。

重傷になると排尿障害が起こることもあります。

主に加齢に伴う背骨の変形や椎間板の膨隆が原因で起こることが多い疾患です。

脊椎分離症・すべり症

腰椎の「椎弓」と呼ばれる部分の一部が切れ、分離した状態が「分離症」です。

とくに4番目・5番目の腰痛位にみられ、構造的に不安定なると分離した部分より前にある椎骨が前に滑ることがあり、これを「すべり症」といいます。

すべり症により、神経が刺激されると、下肢にしびれや痛みなどの症状がみられることもあります。

分離症はスポーツをしているお子さんに多くみられる症状です。

変形性脊椎症

主に加齢に伴い、背骨の関節や椎骨に骨棘というトゲのような骨が増殖し、進行すると神経を刺激することもあり、下肢のしびれや痛みを起こすことがあります。

その状態を「変形性脊椎症」といいます。

加齢現象と共に生じる変形性脊椎症ですが、背骨に負担がかかるような動作(スポーツや重量挙げなど)をする機会が多いと発症リスクが上昇します。

また、喫煙、糖尿病、遺伝などが発症に関係しているという説もあります。

Q&A

・肥満は関係ありますか?

肥満であると腰痛になりやすい傾向がみられますが、じつは、肥満と腰痛に関係があるという信憑性のある報告はなされていません。

・コルセットは腰痛に有効ですか?

コルセットが腰痛に対する予防や治療に有効であるという結論はまだありません。

しかし、コルセットの装着により機能改善の効果がある、動作がスムーズになるという報告は多数あります。

また、腰痛時にコルセットを装着し、日常生活を極力変えずスムーズに行える状態にすることで、治療効果が上がる…という報告もあります。

そういった見地から、コルセットは有効であると考えられます。

お仕事で腰を酷使する方は、痛みのないときは予防のための細めのコルセットを、痛みがひどいときはガッチリ固定するコルセットを…というように使い分け、お仕事中は必ずコルセットを装着することがオススメです。

予防・対策

腰痛の原因の多くは血行不良だといわれています。

同じ姿勢で長時間作業をするお仕事の方は、血行不良になりやすいため、お仕事の合間に簡単なストレッチを取り入れるなどして、定期的に血行不良の改善をしてください。

①深呼吸を数回し、その後、息を吐きながら前屈をします。息を吸いながら戻り、息を吐きながら、今度は後屈をします。

②腰に手を当て、上半身を回します。

③腰に手を当てたまま、上半身を左右に捻った後、最後にグルっと右・左に回します。

④最後に思いっきり「伸び」をしてください。

※急性期には骨盤ベルトの使用も効果的です。

緩解期には腹筋や背筋を鍛え「自前(天然)の骨盤ベルト」を作りましょう。

タイトルとURLをコピーしました