腱鞘炎は腱と腱鞘がこすれあって炎症が起こった状態です。
指を動かすたびにこすれると、進行して引っかかりが生じ、ばね指になります。
手を握るときなどに、指の付け根や関節に痛みが生じます。
重症化すると、指を曲げ伸ばしする際にゴリッという音が起き、激しい痛みを伴うこともあります。
腱鞘炎の最大の原因は「指の使い過ぎ」です。
重いものを手で握って持ち上げる仕事に従事する人や、高齢者の介護をしている人が患うことが多い傾向にあります。
野球やゴルフ、釣りなど棒状の道具を強く握るスポーツなどをやり過ぎても起こります。
パソコンやスマホなどを長時間使い続ける人が発症するケースも近年増えています。
腱鞘炎の中でも、手首の親指側に痛みが出ると「ドケルバン病」(狭窄性腱鞘炎)と呼ばれます。
ばね指に比べ、少ない傾向にありますが、スマホを親指で操作するなどの酷使による、ドケルバン病患者が増加している傾向にあります。
バネ指
指に痛みを感じる腱鞘炎。
指を伸ばすときに「バネが弾けるような感覚」が伴うことから「バネ指」と呼ばれています。
美容師・理容師、ピアニスト、園芸家など、手を使う職業の人に見られるほか、近年では、パソコンやスマホの使いすぎによるバネ指患者さんが急増しています。
ドケルバン病
親指の付け根周辺の手首に炎症が起こり、親指を曲げ伸ばしするとズキズキするような痛みを伴います。
腱鞘炎は指に発生するイメージが強いため、ドケルバン病を見落とし悪化させてしまうケースも多々あります。
ドケルバン病かどうか判断するには、痛みを感じる方の親指をもう一方の手で握り、握った親指を小指側に曲げてみてください。
これで痛みが増す方はドケルバン病の疑いがあるため、一度、ご来院ください。
腱鞘炎症状レベル
レベル1 手首に痛みはないが、腕に違和感や怠さを感じる
レベル2 なんとなく手首に軽い痛みを感じる
レベル3 痛みを感じる場所がはっきりとわかる状態で、その痛みが継続している
レベル4 日常生活の中でも激しい痛みが出る
レベル5 手首を動かさなくても痛みを感じる
レベル1~5に向かうにつれ、症状は悪化しています。
レベル1だから大丈夫…ではなく、すでに症状が出ている状態です。
いずれかの症状がある方は、早めのご来院でより早い改善が見込まれます。
予防・対処法
・手を固定して休める
→できるだけ同じ姿勢、同じ動作は避けなければいけませんが、美容師さんには困難なこと。
少しでも予防・緩和するためには、お仕事の合間の簡単なストレッチがオススメです。
①手のひらが上になるようにどちらかの腕を伸ばします。
親指を反対側の手で下からつかみ、外側に回すようにストレッチさせます。
手首だけでなく、腕全体をストレッチさせることで、胸が開き肩こりの解消にもなる一石二鳥のストレッチです。
②手のひらを下にして腕を伸ばし、指先を下に向け、反対の手で指を内側に引きます。
次に、手のひらを上に向け、指先を下に向け、反対の手で指を内側に引きます。
※無理に反対側の手で力を加えすぎないように気をつけてください。少し伸ばされている感覚で気持ち良いと感じる強さが最適です。
③腕を下に伸ばし、前腕から上腕まで全体が動くように振ります。
ストレッチは、手首だけでなく全身行うと、より効果的です。肩こりが原因で手首が痛くなることもあります。
肩甲骨を動かしたり、前屈・後屈をするなど凝り固まった全身を軽く動かすようにしてください。